10/12/09 14:41
浜だより 2009/12月「総括-2」
2009年12月10日木曜日
こんにちは、浜井(イン・マンハッタン)です。一家は今月も元気に過ごしています。2009年も、あと3週間。今年もあっという間の1年でした。そしてアメリカ生活も、あと2ヶ月。8年間もあっという間でした。この「あっという間感」は、1年も8年も変わらないようです。さて今月は、先月の「アメリカ生活の総括(大学院留学:80点、仕事経験:70点)」の続きです。■英語:30点渡米前には「3年もすれば、アメリカンジョークが止まらないくらい英語がペラペラになるだろう」と思っていたのですが、生まれ持った素質、個体差があるようです。。私の場合、言語能力に問題があるようで、言葉がさっと出てこないです。日本語でも、会話の瞬発力が悪いので「hamai
は、言葉を選んで発言する」と思われているかもしれませんが、とっさのコメントができないだけです。また、渡米したのが27歳で、年齢が遅かったのも良くなかったようです。10代に留学された人の英語を聞くと「外人さんみたいだな~」と関心してしまいます。それと、家では妻と日本語で会話しますので「彼女がアメリカ人」という人と比べると、どうしても英語を利用する頻度が下がります。そのようなわけで、英語は言い訳ばかりで、30点。完全に赤点です。追試です。日本に帰っても、英語学校に通うなり、日本へ来る留学生へのボランティアをする等、英語の勉強を続けようと思います。■CPA:80点米国公認会計士(CPA)の勉強は、就職して1年が過ぎ仕事に慣れた頃、次の目標を探していた時に始めました。日本で働いた経験から、残業は毎日2~3時間するものだと思っていたのですが、働いて6ヶ月くらいの時、ティムに呼ばれ「給料を上げるから、残業はしないでくれ」と頼まれました。残業なしで6時にオフィスを出ると、6時30分にアパートにつきます。夏なら帰宅後2~3時間は空が明るく、ビールを飲んで過ごすには時間が余ります。毎日3時間として、1ヶ月で90時間、1年で1000時間。3年で約3000時間です。このままアメリカに一生暮らすなら、この時間を、ゆったりと過ごせばよいのです。しかし私は日本に帰るつもりでいましたので「これに慣れたら日本に帰って適応できなくなる」と思い、この時間を次の目標に使うことにしました。考えたのは、 1.
英語力を上げる(通訳レベルを目指す) 2.
アメリカ建築士を取る 3.
経済の勉強をする(MBA?、CPA?)です。1.
の英語力は、渡米3年のこの頃には、自分の素質(言語能力)に気づいていましたし、年齢的なこと、家での語学環境を考えると「通訳レベルは、ほぼ不可能」と判断しました。それに英語のできる建築家はたくさんいますので、英語力アップのため「だけ」に努力するのはやめました。2.
のアメリカ建築士は、日本の一級建築士と基本的に同じ勉強なので、達成しやすいと考えていました。しかし、法律用語、関連する数値を一から暗記しなければいけない割に、得られる知識は、自分の知識世界をあまり広げません。3000時間の時間とエネルギーを使うとして、得られるものは「アメリカの建築家」という資格だけです。日本に帰って海外の仕事をするとしても、アジアが中心になるでしょうから「日本の一級建築士」という現在の状況で十分と考えました。3.
の経済の勉強「お金の流れを理解し、記録し、コントロールすること」は、自分がどんな世界で働いても活きる知識という確信がありました。MBAは、経営学修士で、大学院に通い卒業しなければいけないため仕事との両立は無理です。CPAは、必要な単位取得のの授業を受けさえすれば会計士試験を受けられますので、私にも可能でした。CPAの試験は4科目「財務会計/FAR
」「商法&税法/REG
」「監査/AUD
」「経済一般知識/BEC
」です。監査の試験は、エンロン&ワールドコムの不正会計の影響で、法律が改正されたために、出題傾向が大きく変更され、過去問が通じません。エッセー(小論文)の比重が大きくなったため、まさかの7回再試験しましたが、どうにか、苦節3年で全科目合格にたどり着くことができました。 FAR
スコア:68
点 → 77
点 → 失効&
再受験 → 78
点/
合格! AUD
スコア:67
点 → 62
点 → 69
点 → 63
点 → 72
点 → 74
点 → 87
点/
合格! REG
スコア:74
点 → 74
点 → 86
点/
合格! BEC
スコア:70
点 → 77
点/
合格!人には色々な幸福感があると思いますが、私にとって、幸福感とは達成感です。これからも挑戦者として、挑戦を続けたいと思います。もちろん次の主目標は建築です。海外のメディアに頻繁に登場する初見研究室の先輩、三分一博志さん、ルイヴィトンやバーバリー丸の内を設計した「浜だより仲間」の永石貴義君、住宅設計で先をゆく小谷研一君、多くの先輩にあやかって、私も後に続きたいと思います。■子供:100点日本に引き上げる時にアメリカ国籍の子供を2~3人連れて帰りたい、と思っていたのですが、なかなか恵まれませんでした。ですので、最後の年に双子は、まさかの満塁ホームランでした。ただし、2ヶ月の早産で妻が入院し、生まれて来た未熟児たちは即入院、となり、一時はどうなることかと思いましたが、、現在4ヶ月が経ち、順調に成長していますし、アメリカ生活最後の難所を切り抜けた感じです。■人生ゲーム高校生まで、大学受験までは、正しい答えを出すことが重要でした。国語の試験では、本に書かれていることをどれだけ正しく読み取れるかが絶対でした。しかし大学に入った時「読書は、あえて先入観を持って読み間違えるくらいの意識で読みなさい。そして自分だけの世界観を広げなさい。」と言われました。その発言をされた先生は独創的かつ精力的で、なるほど説得力がある方でした。国語の成績は「いつも2、たまに3」だった私としては、救われた思いでした。それ以降、世界を観察するときの自分のルールとして、 1.
なるべく多面的に判断して「客観的正しさ」を得つつ、 2.
自分の主観と偏見をもって「独自のオリジナリティ」を加える。というルールを自分に課しました。このメールで発信してきたことは、その一環です。以前にも書きましたが、 大学で見る建築、社会に出て見る建築、は違います。 日本で見る建築、アメリカで見る建築、は違います。 建築士として見る建築、CPAとして見る建築は違います。どのような対象でも、上下左右、様々な方角から見ることで、立体的に深く判断することができるはずです。異なる視点をいくつ持つことができるか。そして自分だけのオリジナリティを見いだせるか。これはゲームです。この人生ゲームは、日本に帰っても続けるつもりです。hamai