浜井建築デザイン


May 2009

浜だより 2009/5月「3年ぶりの日本」
200953日日曜日

NY20090501_3

こんにちは、
浜井(イン・マンハッタン)です。
今月も元気に働いています。

NYに戻って、直後に新型インフルエンザ騒動。

ニュースでは、毎回、大きく取り上げられていますし、
日本領事館からの情報提供メールが1日に2度も届くほどで、とても心配です。

ただ、送られてきた予防法についての説明が、

(1) 人ごみを避けましょう。
(2) 健康状態が悪い人には近づかないようにしましょう。
(3) 咳やくしゃみをする際には、ティッシュで鼻と口を覆いましょう。
(4) マスクをしましょう。
(5) 石鹸を使い、頻繁に手洗いを励行しましょう。
 などなど。。

と、幼稚園~小学生レベルの微笑ましい内容。

「しょせん、インフルエンザだなぁ。エイズと違うな」という感じで、、

少しほっとします。


3年ぶりの日本

今回、帰国して「3年ぶりの日本の感想は?」と尋ねられました。

最大の感想は「接客が、とても丁寧になった」ことです。

鉄道で乗り越し清算をしたら、おつりが800円でした。
駅員さんが、500円玉1枚と100円玉3枚を手のひらに広げて見せてくれて、
それを1枚ずつ積み直し、丁寧に両手で私の手に乗せてくれました。

コンビニ店員も、以前(7~8年前)は、ヤル気があるのかないのかという感じでしたが、
今回はテキパキした対応、かつ、両手でおつりを渡してくれました。

何度か利用した郵便局でも「こんなに明るく対応してくれたかな」という感想を持ち
ました。

ある友人が「それはクレーマーのせいじゃないかな」と教えてくれました。

ネットの新聞でクレーマーの問題を読んだことがありましたが、
なるほど、日本の接客サービスに影響しているのかもしれません。


では「アメリカの接客は?」と言いますと、
ご存知の通り、日本とまったく違います。

悪く言えば「やる気がない、気遣いがない」。
もしくは、逆に「馴れ馴れしい」。

地下鉄、郵便局、レストラン、高級デパートでも、店員が客に対して、へりくだる(求
められるサービス以上に丁寧になる)ような接客の習慣は、一般にありません。

お金を払って「ありがとう」と言うのは客の方です。
店員は「Have a good day.= いい日を過ごしてね = ごきげんよう)」
それに対して「You too.= あなたもね」
というのが、買い物英会話のパターン。

同じ街に住んでいる「ご近所さん」という感じです。
店員-客の関係は、対等です。

考えてみると、アメリカでは上司-部下の関係も、対等です。
ティムは、社員に対して同僚として接します。日本だと同期入社の感覚です。もちろ
ん呼び名もニックネームです。50歳を超えるティムに対して、大学を卒業したての新
人でもティムと呼びます。

そう考えてみると、クライアントと建築家の関係でも、対等です。
クライアントに「ミスター、ミセス」を付けることはありません。大手自動車メーカー
の社長婦人に対しても、下の名前で挨拶しますし、相手も「私はクライアント、あなた
は使用人」という態度は見せません。


もちろん、お金を払うのはクライアントですし、社員を雇うのはティムです。求めら
れる「プロとしての仕事」に応じられなければ、切られてしまうのは当然です。

しかし、求められる「プロとしての仕事以外の部分」では、職業、役職、年齢を超え
た人格として対等なのがアメリカ流なのだと思います。それが当たり前のこと、社会
的常識、アメリカの文化として定着しています。

日本では、子供の時から先生-生徒の関係、中学で部活に入ると先輩-後輩の関係、社
会に出ると上司-部下の関係、店員-客の関係と、必ず「主-従」関係ができ、それが社
会常識、日本の文化?として定着しています。

これは国による文化の違いで、どちらが良い悪いという話ではありません。

文化は、社会を構成する人々によって共有される行動様式で、もちろん不変の部分は
あるものの、時代によって少しずつ変わるはずです。そして現代はグローバル化し、
情報は簡単に行き交い、世界の文化(人々の行動様式)が少しずつ近づいて行く、と考
えられているわけですが、、

今回、一時帰国して、
「日本は、ますます日本らしくなったな」 と、思いました。

hamai


P.S.
今回の添付写真は、
1.実家から1分の古い酒屋さん
2.たまたま見つけた下町の銭湯
3.上野の国会図書館
4.芸大の建物

海外から見ると上野の下町はエキゾチックです。
来年戻ったら、この街に自分にしかできなかった経験を重ねて、自分にしかできない
建築を設計できたら、、いいなぁ、、いいよなぁ~、と
しみじみ思いました。