03/05/09 14:27
浜だより 2009/5月「3年ぶりの日本」
2009年5月3日日曜日
こんにちは、浜井(イン・マンハッタン)です。今月も元気に働いています。NYに戻って、直後に新型インフルエンザ騒動。ニュースでは、毎回、大きく取り上げられていますし、日本領事館からの情報提供メールが1日に2度も届くほどで、とても心配です。ただ、送られてきた予防法についての説明が、(1) 人ごみを避けましょう。 (2) 健康状態が悪い人には近づかないようにしましょう。(3) 咳やくしゃみをする際には、ティッシュで鼻と口を覆いましょう。(4) マスクをしましょう。(5) 石鹸を使い、頻繁に手洗いを励行しましょう。 などなど。。と、幼稚園~小学生レベルの微笑ましい内容。「しょせん、インフルエンザだなぁ。エイズと違うな」という感じで、、少しほっとします。■3年ぶりの日本今回、帰国して「3年ぶりの日本の感想は?」と尋ねられました。最大の感想は「接客が、とても丁寧になった」ことです。鉄道で乗り越し清算をしたら、おつりが800円でした。駅員さんが、500円玉1枚と100円玉3枚を手のひらに広げて見せてくれて、それを1枚ずつ積み直し、丁寧に両手で私の手に乗せてくれました。コンビニ店員も、以前(7~8年前)は、ヤル気があるのかないのかという感じでしたが、今回はテキパキした対応、かつ、両手でおつりを渡してくれました。何度か利用した郵便局でも「こんなに明るく対応してくれたかな」という感想を持ちました。ある友人が「それはクレーマーのせいじゃないかな」と教えてくれました。ネットの新聞でクレーマーの問題を読んだことがありましたが、なるほど、日本の接客サービスに影響しているのかもしれません。では「アメリカの接客は?」と言いますと、ご存知の通り、日本とまったく違います。悪く言えば「やる気がない、気遣いがない」。もしくは、逆に「馴れ馴れしい」。地下鉄、郵便局、レストラン、高級デパートでも、店員が客に対して、へりくだる(求められるサービス以上に丁寧になる)ような接客の習慣は、一般にありません。お金を払って「ありがとう」と言うのは客の方です。店員は「Have a good day.=
いい日を過ごしてね (=
ごきげんよう)」それに対して「You too.=
あなたもね」というのが、買い物英会話のパターン。同じ街に住んでいる「ご近所さん」という感じです。店員-
客の関係は、対等です。考えてみると、アメリカでは上司-
部下の関係も、対等です。ティムは、社員に対して同僚として接します。日本だと同期入社の感覚です。もちろん呼び名もニックネームです。50歳を超えるティムに対して、大学を卒業したての新人でもティムと呼びます。そう考えてみると、クライアントと建築家の関係でも、対等です。クライアントに「ミスター、ミセス」を付けることはありません。大手自動車メーカー
の社長婦人に対しても、下の名前で挨拶しますし、相手も「私はクライアント、あなた
は使用人」という態度は見せません。もちろん、お金を払うのはクライアントですし、社員を雇うのはティムです。求められる「プロとしての仕事」に応じられなければ、切られてしまうのは当然です。しかし、求められる「プロとしての仕事以外の部分」では、職業、役職、年齢を超えた人格として対等なのがアメリカ流なのだと思います。それが当たり前のこと、社会的常識、アメリカの文化として定着しています。日本では、子供の時から先生-
生徒の関係、中学で部活に入ると先輩-
後輩の関係、社会に出ると上司-
部下の関係、店員-
客の関係と、必ず「主-
従」関係ができ、それが社会常識、日本の文化?として定着しています。これは国による文化の違いで、どちらが良い悪いという話ではありません。文化は、社会を構成する人々によって共有される行動様式で、もちろん不変の部分はあるものの、時代によって少しずつ変わるはずです。そして現代はグローバル化し、情報は簡単に行き交い、世界の文化(人々の行動様式)が少しずつ近づいて行く、と考えられているわけですが、、今回、一時帰国して、「日本は、ますます日本らしくなったな」 と、思いました。
hamai
P.S.
今回の添付写真は、 1.
実家から1分の古い酒屋さん 2.
たまたま見つけた下町の銭湯 3.
上野の国会図書館 4.
芸大の建物海外から見ると上野の下町はエキゾチックです。来年戻ったら、この街に自分にしかできなかった経験を重ねて、自分にしかできない建築を設計できたら、、いいなぁ、、いいよなぁ~、と
しみじみ思いました。